『走れメロス(METROPOLIS ver.)』
 市民マラソンに参加中の拓弥とベン。37キロ地点のここに来て、ベンちゃんがレースを棄権すると言い出した。昨日、飲み屋で知り合った女の子にゴールで待っていると言われたから参加したのだった。「彼女を信じて、走らなければだめだよ」と、拓弥はベンちゃんに付きっきりで励まし続けるのだが・・

 ベンちゃんは『サクラ』に出てもらおうと出演依頼をしたのですが、稽古場で見ていて、本人があんまりにもおもしろい。「急で悪いんだけど、もう1本やってくれない?」と頼み込んでやってもらったものです。とにかく、身悶えして悩む姿が絶品。悩みまくる話にしたい、というのがまずあった。悩みまくるとなると、人はたいてい一カ所で悶々と悩むものです。普通は移動しながら悩むことはあまりないわけです。ですから、ここは一つ走りながら悩む、というのをやってみようと思ったんです。悩むのはやはり女性問題でなければならないだろうと。こう書くときっかけがものすごく単純に思えるかもしれませんが、走りながら悩むって、どうやるの? と、ハードルは設定してみたものの、どうやってそれを越えればいいのか? 私も身悶えして悩んだものです。